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  特別増刊号 (会員投稿コラム)  17号 ビギナーズ・ラックに脱帽!  2008年 12月 8日 (高知県 沖の島) 
芭蕉も驚く!
磯の一句
 初心者の 足も震えた 沖の島 ※季語なしの川柳かもしれません
  沖の島 デビュー戦の巻      執筆・詠み人:中川 敏幸


イシガキダイ 49.5pを手にしたST君

1日目に上がった一ツバエ

2日目の裸島・船着き
 四国の沖の島・鵜来島や柏島に通うようになり、ようやく、今年で5年目になるかと思います。お誘いは頂くのですが、どこの釣り倶楽部にも属さず、現在は底物一筋に、磯の王者『石鯛釣り』の魅力に嵌った一人です。こう言えば聞こえは良いですが、他の釣りもしたいのですが余裕が無くて・・・。

 今回の釣行は11月初旬の三連休、いつもお世話になっている沖の島・金子渡船(気さくな船長と美味しい手料理とお弁当を作ってくれる奥さん)に当初は4名で行く予定でした。釣り仲間の間での私のイメージは、春先のノッコミシーズンの大型が掛かりやすいときだけ沖の島に行って、ノッコミ時期が終わるとシーズンが終わりだと思われているようで、「11月の連休に行くよ。」と連絡すると驚いていました。
 計画では、私は一発クチジロ狙い、同行者は四国がデビュー戦の3名なので、沖の島の雄大さを知ってもらい、来年のノッコミ時期に一緒に行けたらという思惑でした。結局、2人は仕事が入り、底物超初心者の『ST君』と2人で行く事になりました。
 ST君は何も道具がないので、まず安全第一、磯ブーツを購入させ、救命具は船に備え付けのものを借りる事に、後は少しだけ仕掛け「瀬ずれとハリス・重り」を買って、いざ片島港へ向けて出発です。

 初日は、前日(10/31)から底物大先輩の福山市のS氏が金子渡船で宿泊していたので、便乗させてもらい、超一級磯の『一ツバエ』に上がる事が出来ました。磯上がり後、道具を準備し、ST君にはまずはバックラッシュをさせないようリールに慣れてもらうため、エサは着けずにひたすら仕掛け投入の練習をしてもらいました。底物は初心者ですが、海釣りは結構経験があるようで、直ぐにリールにも慣れてくれました。
 潮は、朝から結構良い流れで、エサ落ちもよく期待が持てましたが、弁当船で見回りの時もアタリはあるものの、本命の叩くようなアタリはない状態でした。
 その日一つバエでは、合計6名磯上がりし、南の船付き側では、三重県からの上物師3名が竿を出し、内1人はルアーでキャストして良型の青物をヒットさせていました。
 ふと、底物大先輩の福山市のS氏に目線を向けると竿を曲げているではないですか!。手応えからすると「40前後のイシガキ」との事、竿の弾力性もあり軽々と上がってきました。さすがS氏、本日の初物を釣り上げ、時合が来たことを知らせてくれました。
 「さあ、来るで!」とST君に声を掛け、エサを付け替え、打ち返しを続けました。良い潮が入りだすと、根掛かりが多くなるのが一つバエの特徴、私も以前に投入するたび根掛かりし、手前の瀬に道糸があたり、15回連続の高切れになりました。この時だけは、さすがにめげて、潮が少し落ち着くまで休憩した事があります。
 早々に弁当を平らげて、何気に竿先を見ると、明らかにたたくような本命のアタリ!。竿が完全に入るところを見てもらおうとST君に声を掛けましたが、エサだけ取られたようで不発に終わりました。直ぐにエサを付け替え同じポイントに投入、底につくなりたたくアタリ!、今度は入るぞと叫んだ瞬間、竿先は海面向かって突っ込みました...。
 心地よい引きを楽しみながら、上がってきたのは40p級のイシガキでした。内心、ボウズをまのがれたとホッとしました。
 その後もまだ良い潮が来ていたので、まだまだ釣れると確信し打ち返していると、3投目の仕掛けが着底する前、竿を引ったくって行くアタリがあり、慌て合わせると結構な手応え。少し慎重に上げると45pのイシガキでした。初心者のST君にもこの引きを味わって欲しいと思いながらも、無情にも時間は刻々と過ぎて行きます...。
 ふと気付くと、となりでST君が何か重そうにリールを巻いています。期待した沖の島での初の一匹は果たして...?、と云うところでしたが、40p級のブダイでした。
 結局、初日の一つバエでの釣果はイシガキ二匹とブダイと50pのアマダイ(現地呼び名)の計4匹でした。金子旅館の奥さんに無理を聞いて頂き、イシガキ1匹をお造りと焼ききりにしてもらい、テーブルに並べてもらいました。この焼ききりが最高!。ポン酢で食べれば、お酒が進んで止められません...。というところで、初日は一睡もしていないので早々寝床に。

 二日目、金子渡船は超満員でした。上物の大会が入っていて、賑やかでした。泊まり客優先で磯上がりは出来ますが、今回は船長に最後で足場の良いところにとリクエストし、私たちはワクワクしながら順番を待ってました。と思いきや?横を見るとST君の様子がおかしい!? 顔は青ざめて、そうです明らかに船酔です。大会メンバーの上物師達が磯上がりする際、26名となると結構な道具になるので、磯に上げるだけでも大変な作業です。思ったよりも時間がかかり、その揺れに酔ったんだと思います。
 結局、私達2人は船長のはからいで、三ノ瀬裸島の船着きに上げてもらいました。ST君は限界の域に達しており、足が地面に着かず、手ぶらで磯に上がるのも危険な状態でした。何とか無事に磯に上がり、とりあえずはST君を休憩させないと思い、磯の名前(裸島)如く、裸のベッドのような大きな岩が後ろにあります、風裏で体調が戻るまで横になってもらいました。
 私の方は、ピトンを低場のポイントにセットし、潮の状態を確認してから、昨日福山市の大先輩S氏から頂いた大判用撒き餌を投入しました。少々、風が強く、潮と風は全く逆になってます、若干釣りづらそうですが、良い潮が入ってるので期待はかなり持てました。そして、エサをセットし撒き餌の流れ考え、その日の1投目をいれました。撒き餌効果なのか?エサ取りが芯まで食って、あっと言う間に素バリです。10投目くらい経った頃でしょうか、時計を見ると8時30分を過ぎていましたので、弁当船に間に合うようエサの追加を頼みました。岩の上では、まだ熟睡しているかのようにピクリとも動かないST君、当分起きる気配はないみたいです。
 その後もエサ取りのあたりは頻繁にあるものの、本命の叩くようなあたりがないまま、一時間ほど経った頃船長が弁当を持って見回りに来てくれました。弁当の美味しそうな匂いに目が覚めたのか?、ST君が復活してきたので、潮の状況を説明してから、高場にセットするようにして準備を開始しました。
 私に二日目最初のアタリがあったのはその直後、竿が一気に持っていかれ、慌ててピトンから竿を外しあわせると、43pのイシガキでした。その後も立て続けにアタリがあり、小ぶりながら40pの石鯛と45pのイシガキを追加しました。...やがて、時合が過ぎアタリが止まったので、美味しい手作り弁当を食べて少し休憩しているところへ船長が見回りに来て、「良い潮が入ってるから頑張ればもっとくるよ。」と言い残し波間を去っていきました。
 私としては、ST君にも何とか釣り上げほしいので、打ち返しをどんどんするように言いました。その後もエサ落ちは潮の関係か芯まで無くなる状況は続いていました。午後1時前だったでしょうか、ST君の竿にいよいよ待望のアタリが来ました!。「このアタリを逃すと、もう後はない。」と思い、『絶対に早合わせはダメ! 魚が引っ張って行くまで待ってや。』と叫びました。竿が完全に入ったタイミングを見計らって、『いまや〜!。』と声をかけました。ST君はピトンから竿を取り、リールを巻き始めました。竿の曲がりから見ると、40p級ですが、リールを巻く手が緊張のあまり三角巻きになっていました。「魚を底から浮かせないとあかんでエ。」と横で叫びながら、上がってきたのは、43pのイシガキでした。磯の上にあげ、ストリンガーにかけた時、2人で拍手喝采です。釣り上げた本人は足が震えていました。私は内心良かったとホットしていました。久しぶりにストリンガーが一杯になるくらいの釣果です。
 しかし、ホットしたのも束の間、本番はこの初物が釣れてから2〜3投目ぐらい後。突如としてST君の“お〜お〜、うーん”と叫ぶ声が磯に響いたので、その方向に顔を向けると、ナント!竿が凄い角度を描いて、彼が踏ん張っている姿が見えるではないですか...!。二日間で一番凄いヒキで、リールを巻くどころか竿を持っているのが精一杯のようです。何とか魚を底からは浮かさないと、根に入いるとやっかいです。しばらく踏ん張り続け、やっと魚を浮かせたのか少しづつリールを巻き始めました。
 私も思わず、「ワイヤーやから仕掛け信用して思い切り巻きッ。!」と叫びました。暫くして水面に顔を現したのは口が白くなっている『イシガキ』でした。磯上からみても2日間で一番大きなサイズです。引き抜くのは止め、ワイヤーを取り、磯に上げ、ストリンガーにかけ一安心。実寸では、49.5pでした。釣り上げた本人はヒキの強さと感動で暫くの間、放心状態と足の震えが止まらないようでした。
エガッタナ〜〜!。

 時計を見ると、14時近くになっていました。少し早めに納竿し、彼と49.5pのイシガキを記念撮影し船を待ちました。このイシガキは、春先の60p前後の石鯛くらいに相当するヒキがあったと思います。彼には一生忘れられない、沖の島での一枚になると思います。
今回は行ったタイミングが良かったのか、ビギナーズラックでの強運なのか、福山のS氏から頂いた撒き餌の効果があったのかなどと色々な事が考えられますが、すべてが重なり良い結果が出たのではないかと思います。
 金子船長や奥さんからもパワーをもらい、皆さんのお陰で楽しませてもらいました。沖の島に感謝です!。底物初めてのST君も沖の島のファンになったと確信しています。
 改めて“ビギナーズラックに脱帽”です。恐れ入りました!!。これから、慌ただしい季節になりますが時間を作って冬場のクチジロ狙いに挑戦します。

PS. ST君は船酔いを気にして片島へ帰港する光洋丸では景色を見ながら外にいました...。が、案の定、揺れには弱いようです。その後の状況はご想像にお任せします。
  道 具


特製のオンリーワンロッド


ハンドメイドハンドルなど

 私の釣り歴は30年くらいにはなりましが、こと底物釣りは、まだまだ若輩者です。底物に嵌った理由の一つに『釣のスペシャリストと言っても過言ではない方、N師匠と出合ったからです』。
 そのN師匠の紹介を少しさせて頂きますと、和歌山県南紀の磯なら、何から何まですべて熟知し、底物氏の師匠でもありますが、グレ釣りについても妥協を許さないほどの拘りと腕を兼ね備えた方です。道具にも、すごく拘りがあり、他の釣り師が持っていない道具を手作りで一つ一つ作る凄い方です。底物の竿もブランク竿を作るメーカーをあたり、N師匠が釣行経験で培った『石鯛竿の調子』を忠実に守り作らせ、竿の調子は変えずに糸巻きやエボキシ加工、ガイドやリールシートをすべて手作業で取り付けておられます。

 極めつけは『アクリル製透明の石づち』です、これは何処にもないオンリーワンの品物です。他のの道具では、海魂用パワーハンドル(チタン製)、ウニ通しやピトンの足、チタンでも加工するこだわりを持った方です。そんな事で私も他にはない道具を持たせてもらってます。ちなみに福山市のS氏も、例の手作りの竿に魅せられ昨年、N師匠に作ってもらったOnlyOneの一本を使っている一人です。
  筆者のご紹介 ( 兵庫県 中川 敏幸氏 )


4/12 大バエ 石鯛 64cm


5/16 ムロバエ・船着き 石垣鯛 45cm


5/16 福山市 S氏 12kgの青ブダイ


写真左は、今回の釣行釣果である石垣鯛。

 fishon四国事務局にこれまでご投稿いただきました中川氏の沖の島釣果履歴の一部をご紹介しています。

事務局後記:
 中川様、【磯の細道】へのコラムのご投稿ありがとうございました。コラムでは、「これから、慌ただしい季節になりますが時間を作って冬場のクチジロ狙いに挑戦します。」と最後に力強くコメントされていましたが、その際には成果のご一報宜しくお願い致します。
 それにしても事務局の心配は、今回ご登場いただいたST君。船酔いの試練を乗り越え、どこまで釣師として成長するか...???。今後が楽しみです。

またの、ご投稿お待ちしています。